臨時社長秘書は今日も巻き込まれてます!
だけどそれは、さすがに大人としても、女子としても、会社員としてもダメだよね。

本当に……さらっと普通の顔をして毒を吐くからなぁ、社長って。

「まあまあ……二人とも、仲が良いのはわかりましたから、早く座って冷めないうちに召し上がってください」

微笑み勝子さんに、何となく毒気を抜かれて座る。


「いただきます~」

両手を合わせて頭を下げると、社長も隣りにドカリと座って眉を寄せた。

「お前の切り替えの早さにはついていけない時があるが、何となくお前が俺が連れまわす昼飯に文句があったのはわかった」

「文句はないですよ。一緒に行けば食費が浮きますし、社長も昼休憩とってくれますし」

「いや。だから俺の場合は空腹の方が仕事が捗る……」

「身体が資本ですからね。ちゃんと食べて、ちゃんと寝るものです」

社長と同時に味噌汁を飲み、同時にほぅ……と息を吐く。


「美味しいですねぇ」

「だろう? 卵焼きも旨いぞ」

「いただきまーす」

気がつけば、小杉さん夫妻は、どこか生暖かい目で私たちを見ていた。










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