臨時社長秘書は今日も巻き込まれてます!
「じゃ、私も生ひとつ。それから徳さんのお新香が食べたいな」

「はいはい。じゃ、生ふたつ」

ジョッキとお新香、それからお通しの枝豆を出されて乾杯した。

暑いくらいの店内で、炭火で焼かれるお肉の匂いと魚の匂いが入り交じる。

そのなかで味わうビールの苦味は、とても美味しい。

「なかなか楽しい店だな」

ゴクゴクとジョッキを空けた社長にビックリだけど、どこかやんちゃな笑顔に私も嬉しくなる。

笑いあっていると、Tシャツのおじさんが、社長の飲みっぷりに「いいねぇ、兄ちゃん」と、何故か気をよくしてお酒を奢ってくれた。

今日の徳さんおすすめコースは、焼き鳥に手羽先、ホタテのお刺身に、茄子の煮浸し。

それをつまみにお酒を飲み続けていたら、気が付けば社長とTシャツのおじさんが仲良く……と言うよりも熱く、手拭いの売れ行きについて語り始めていた。

それから二人で何故か飲み競べを始めて、まわりのお客さんたちまで囃し立てる始末。

ちょ~っと、弾けすぎじゃないかなぁ?

そう思わない訳じゃなかったんだけど、あまりに楽しそうにしていたから、止めるのが遅かった。




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