臨時社長秘書は今日も巻き込まれてます!
***



「もう! 飲みすぎですから!」

真夜中3時。徳さんに手伝ってもらって社長をタクシーに詰め込むと、溜め息をついた。

「いやぁ。こっちは売り上げになったし、伸ちゃん相手に勝ったんだから大したもんだと思うよ。まぁ、頑張って送ってあげな」

徳さんいわく、Tシャツおじさんは伸ちゃんと言うらしい。彼はまだお店で潰れてる。

フラフラしながらも、さっきまではギリギリラインでキリッとしていた社長は、今や後部座席でぐったりしてた。

「それじゃ、ありがとうございます」

「気を付けてなぁ」

苦笑をしつつ、片手を上げる徳さんに手を振ってタクシーに乗り込むと、社長の自宅を告げてから、座席に座り直して腕を組んだ。

「もう、男の人って、どうして勝負に熱くなっちゃうんだろ」

「それが男ってもんだろ……」

「あ……起きてましたか」

「半分寝てるがな……」

社長を見ると、目を瞑ってグダグダしてるけど起きてるらしい。

ビール、焼酎、日本酒、それから芋焼酎に泡盛まで手を出していたよね。

すげーなこの人、どこまで飲むんだろって、ポカーンとしていた私も悪かったんだけど。

「……女の前で、かっこ悪いとこ見せられねぇだろ」

「いや。もう、醜態さらしてる段階でかっこ悪いんですけど」

「お前……それは言うな」

ブツブツ呟いて、片腕で顔を隠してしまった。

ちっ。目を瞑っていても目の保養だったのに~。
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