臨時社長秘書は今日も巻き込まれてます!
うん。わかっていない訳じゃない。

だいたいうちの弟は、どっちかと言うと体育会系でむさ苦しいし、こんな美形な弟を持った記憶もない。

ちゃんと社長は社長だって認識はしている、けど、社長は仕事以外はどこかやんちゃでおかしいし。

今日なんてとても自然体で、下町酒場のおじさんと意気投合して飲み競べなんて始める始末でさ?

いや、でも、でもね?

「あ、あなたは、女嫌いでしょ!」

「それは違うってわかってるだろ」

わかってるよね! ええ。それも知っている。

今は仕事が中心で、奥さん持ってる余裕はないんだって考えてる事も聞いている。

同時に、鷹の目で狙ってくる女性にちょっぴり怯えてるんだろうなーって事も薄々気づいてた。

きっとどこかロマンティストで、理想を求めているんだってことも……。


きっと可愛いお嬢さんが似合う。小さくて、お人形さんみたいな可愛い子。

まわりから見ても、お似合いね、と心から言えるような深窓のお嬢様。

きちんと社長を東野隼人さんとして、見てくれる人。

間違っても、こんな無礼者……平均的なサラリーマン一家に生まれた、平凡な“お母さん”的な女ではなく。

そもそも、そんな風に考えること事態がおかしいじゃない?

『いずれは見合いでもしないといけないんでしょうけどね。今は仕事に専念したいので煩わしいですよ』

初めの頃に社長はそう言っていたじゃない。

だから、これはきっと“忠告”だ。
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