臨時社長秘書は今日も巻き込まれてます!
「社長……離してください」
呟くようにして言うと、背中の拘束が少しだけ緩む。
「私が無頓着にも、夜中に男の人の独り暮らしの家に上がり込んでしまったのは認めますから」
緩んだ腕に確信を得て離れると、簡単に抜け出せた。
立ち上がり、少し乱れた服とスカートを直していると、右の薬指に輝くリングが視界にはいる。
右手のリングはカモフラージュ。私に贈られた“プレゼント”じゃない。
社長の茶番にお付き合いします、という証しに過ぎない。
それを見ていたら、社長が溜め息をついた。
「本当に、わかってるか?」
「わかりました。今後は気を付けます」
「そうじゃなくて……」
社長は疲れたように言いかけて、頭が痛むのか、顔をしかめてこめかみに触れると溜め息をつく。
「……どちらにせよ、討論できる体調じゃ無さそうだな。もう少ししたら小杉が起きるから、彼に送ってもらえ」
小杉さんの家は、本当に早起きなんだなぁ。
そう思いながら社長を見ると、目はバッチリと目覚めているようだ。
これなら急性アルコール中毒とか、そういうのは問題ないと思う。
「大丈夫ですよ。タクシーで帰りますから。起き抜けに小杉さんにお願いするとか、やめて差し上げてください」
「この辺りにはタクシー来ないぞ」
「今はスマホアプリで便利なものがあるんですよ」
呟くようにして言うと、背中の拘束が少しだけ緩む。
「私が無頓着にも、夜中に男の人の独り暮らしの家に上がり込んでしまったのは認めますから」
緩んだ腕に確信を得て離れると、簡単に抜け出せた。
立ち上がり、少し乱れた服とスカートを直していると、右の薬指に輝くリングが視界にはいる。
右手のリングはカモフラージュ。私に贈られた“プレゼント”じゃない。
社長の茶番にお付き合いします、という証しに過ぎない。
それを見ていたら、社長が溜め息をついた。
「本当に、わかってるか?」
「わかりました。今後は気を付けます」
「そうじゃなくて……」
社長は疲れたように言いかけて、頭が痛むのか、顔をしかめてこめかみに触れると溜め息をつく。
「……どちらにせよ、討論できる体調じゃ無さそうだな。もう少ししたら小杉が起きるから、彼に送ってもらえ」
小杉さんの家は、本当に早起きなんだなぁ。
そう思いながら社長を見ると、目はバッチリと目覚めているようだ。
これなら急性アルコール中毒とか、そういうのは問題ないと思う。
「大丈夫ですよ。タクシーで帰りますから。起き抜けに小杉さんにお願いするとか、やめて差し上げてください」
「この辺りにはタクシー来ないぞ」
「今はスマホアプリで便利なものがあるんですよ」