臨時社長秘書は今日も巻き込まれてます!
落ちていたジャケットを拾い上げ、振り返ってそれを渡そうとしたら、頭を抱えている社長を見つけた。

「ちょ……大丈夫です?」

「頭がガンガンしてきた……」

めちゃめちゃ顔を歪めている彼の前にしゃがみ込む。

「え……今更? ともかく、えーと。横になりましょうか?」

「それは、誘われてるのか?」

「そんなわけないでしょうが! 思考は元気ですね!」

「……すまん。大きな声は響く」

全くもう! 最終的にはめちゃめちゃ手のかかる人だな!

「吐きそうですか? そうじゃないならしっかりお水飲んで下さい」

置いてあったお水のペットボトルを渡すと、ゴキュゴキュ飲み干してからまたまた溜め息。

「ここまでは久しぶりだな……」

「……あなた、相当お酒が強いんですね」

呆れると言うか、なんと言うか……。

うちの弟も、けっこう強いけど、あの子は一回大イビキで眠ったらピンシャンしてるしなぁ。

「とりあえず、安静にするしかないですね。寝室まで歩けます?」

「ここでいい……」

もぞもぞと動いて、ソファに横になったけど……明らかにサイズがあってない。

足は飛び出してるし、頭は変な角度になっているし。


……と言うか。苦痛に顔をしかめる社長の顔が、妙に色っぽくて萌える。

お酒飲み過ぎのだらしない姿の癖に、それがおいしいとか考えちゃうんだけど。

いかん。そんな不埒なことを考えている暇はないっす。
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