臨時社長秘書は今日も巻き込まれてます!
「いいや。気にしていても始まらないし」
給湯室にトレイを戻すと、内線電話にかじりつく。
社長が参加する予定だった企画会議をキャンセルして、支社の視察もキャンセルして……それから役員たちに連絡を入れた。
そう言えば、何故か会長室には内線が無いんだよな……。
役員会議に呼ばない訳がないとは思うけれど、会長は……社長に確認してからにしよう。
恐らく副社長と相談中だろうし、用もなく聞きに行くのは憚られる。
目の前の書類を眺め……。
社長に渡すはずの決裁書を、明日でよさそうなものと至急なものと、確認をしながら分けていると、静かに執務室のドアが開いた。
「美和。役員たちに連絡……」
「致しました。専務はすでに外出されていらっしゃいましたが、14時には戻られるそうです。会長にはいかがいたしますか?」
「ああ……会長室には内線がないからな。呼んできてくれ」
……呼びにいかないといけない感じか。
「かしこまりました……あ。社長」
すぐに戻ろうとした社長を呼び止めると、眉を寄せながら振り返られる。
「他の役員たちには会議をする事情は説明しておりませんので、よろしくお願いいたします」
「は? どうしてだ?」
「秘書を通すからです」
社長は何とも言えない複雑な表情で私を見下ろし、そして執務室へ戻っていった。
給湯室にトレイを戻すと、内線電話にかじりつく。
社長が参加する予定だった企画会議をキャンセルして、支社の視察もキャンセルして……それから役員たちに連絡を入れた。
そう言えば、何故か会長室には内線が無いんだよな……。
役員会議に呼ばない訳がないとは思うけれど、会長は……社長に確認してからにしよう。
恐らく副社長と相談中だろうし、用もなく聞きに行くのは憚られる。
目の前の書類を眺め……。
社長に渡すはずの決裁書を、明日でよさそうなものと至急なものと、確認をしながら分けていると、静かに執務室のドアが開いた。
「美和。役員たちに連絡……」
「致しました。専務はすでに外出されていらっしゃいましたが、14時には戻られるそうです。会長にはいかがいたしますか?」
「ああ……会長室には内線がないからな。呼んできてくれ」
……呼びにいかないといけない感じか。
「かしこまりました……あ。社長」
すぐに戻ろうとした社長を呼び止めると、眉を寄せながら振り返られる。
「他の役員たちには会議をする事情は説明しておりませんので、よろしくお願いいたします」
「は? どうしてだ?」
「秘書を通すからです」
社長は何とも言えない複雑な表情で私を見下ろし、そして執務室へ戻っていった。