臨時社長秘書は今日も巻き込まれてます!
それと気づいたのか、社長が呆れたように目を細めた。

「お前は、本当に俺の顔が好きなんだな」

そんなしみじみと言う事じゃないし!

「し、仕方ないじゃないですか! そんな顔をしてる社長が悪いんです」

「それはどんな言いがかりだよ。顔は単に母親譲りってだけだろうが。お前だって誰かに似てんだろ?」

「私も母親譲りですね。弟たちは父親に似てゴツいんです」

「ふーん……?」

……と、柔らかく微笑む彼に、何故か和みかけてハッとした。

「い、今は業務中です!」

「そうなんだがな。だいたい俺ラインで忙しいって、会社の危機くらいで良いんだが……」

「そんな怖い事を言わないでください。今の所は安定しています」

「今回の一件で、どう波紋が起こるか、だがな」

疲れたように立ち上がる社長に、苦笑を返す。

「そんな弱気でどうします。頑張りましょう?」

ガッツポーズ付きで言うと、彼はポンポンと私の頭を二度ほど叩いてからデスクに戻って行く。

「悪い。驚かせたな」

「いいえ。社長はビックリ箱みたいな人だと認識しておきます」

かなりの勢いでそう思うよ。

でも、こういうザックリしたところも好きだなぁ。

「…………」

いや、違う。それはだからダメなんだって。

しっかり距離をはからないと!
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