臨時社長秘書は今日も巻き込まれてます!
「社長。女性が苦手ですから……でも大丈夫のようですね」

「ええ。まぁ……いろいろありましたけど」

そりゃあもう、本当にいろいろあるんだけど。
でも、私から野村さんに伝える事じゃないと思うから、黙っておこう。

「もう、復帰されても問題ないんですか?」

羽柴さんと野村さんの様子を見ると、どうもそんな感じだよね?

ニコニコしている野村さんが頷いて、だけど、羽柴さんは首を傾げた。

「来週の月曜からだね。社長と相談するけれど、現状はいきなり復帰すぐにフルタイムはキツイんじゃないかな」

「ああ……」

通常業務、足すことの、横領疑惑が問題かな?

「その相談のために、今週中に野村さんに無理言って出てきてもらったんだけどね。社長はいらっしゃる?」

「いらっしゃいます。といいますか、まず内線下されば……」

いらっしゃるか確認できるだろうに……。

「いや。野村さんが、西澤さんの顔を見たいって言っていたから」

「私の顔を見たところで、楽しくないと思うのですが」

「ううん。西澤さんが平気な顔して勤めてるよって話をしたら、信じてくれなくて」

笑顔を貼り付けて野村さんを眺めた。

それくらいは社長を信用してあげようよ、野村さん。

「しかも、西澤さんと社長がとても仲が良いって言っても信じてくれなくてねぇ」

「普通ですよ。私は単なる臨時秘書ですし……」

後の細かい話は社長とすればいい。

執務室に向かいかけたら、ドアが開いた。
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