臨時社長秘書は今日も巻き込まれてます!
巻き込まれたくなかったです。
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私が勤める会社は一部上場の株式会社。
競合の会社も多い中、不況の波もうまく乗り切っている優良会社だと言われている。
まぁ、不況の煽りをくらうっていうのはどこの会社も一緒の事で、うちだけが乗り切ってきているわけでもないけど、比較的波に乗るのがうまいんだろう。
「美和。社長が通るよ」
同じ秘書課の詩織に言われて顔を上げた。
私たちの普段詰めている秘書課はエレベーターを降りてすぐの場所、重役たちが使う執務室の手前にある。
先代の社長によってオープンな会社を目指した結果、この階の廊下側の壁は全面ガラス張りになっていて、いつどこで誰が通ったのか見ることができる。
こっそりと視線を上げた先で、真剣な表情の社長が年嵩の副社長と話しながら歩いていた。
うん。社長が颯爽と歩く姿は尚更ステキ。
でも、その後ろにいつもいるはずの秘書の野村さんの姿がない。
あれ? どうしたんだろう?
不思議に思ったけど、副社長が立ち止まり、それから彼に呼ばれて秘書室長の羽柴さんが呼ばれていった。
視界の隅にで社長の姿を追ったけど、その姿も見えなくなると業務に戻る。
「……あんた。社長を見る無表情どうにかならないワケ? ちょっと怖いんだけど」
詩織が腕を摩りながら小声で言うから、
「なぁに。ニヤニヤいい男だなぁって見てればいいワケ? そっちの方が怖いじゃん」
キーボードを叩く手を止めず返事を返すと、何も言わずに溜め息をつかれた。
私が勤める会社は一部上場の株式会社。
競合の会社も多い中、不況の波もうまく乗り切っている優良会社だと言われている。
まぁ、不況の煽りをくらうっていうのはどこの会社も一緒の事で、うちだけが乗り切ってきているわけでもないけど、比較的波に乗るのがうまいんだろう。
「美和。社長が通るよ」
同じ秘書課の詩織に言われて顔を上げた。
私たちの普段詰めている秘書課はエレベーターを降りてすぐの場所、重役たちが使う執務室の手前にある。
先代の社長によってオープンな会社を目指した結果、この階の廊下側の壁は全面ガラス張りになっていて、いつどこで誰が通ったのか見ることができる。
こっそりと視線を上げた先で、真剣な表情の社長が年嵩の副社長と話しながら歩いていた。
うん。社長が颯爽と歩く姿は尚更ステキ。
でも、その後ろにいつもいるはずの秘書の野村さんの姿がない。
あれ? どうしたんだろう?
不思議に思ったけど、副社長が立ち止まり、それから彼に呼ばれて秘書室長の羽柴さんが呼ばれていった。
視界の隅にで社長の姿を追ったけど、その姿も見えなくなると業務に戻る。
「……あんた。社長を見る無表情どうにかならないワケ? ちょっと怖いんだけど」
詩織が腕を摩りながら小声で言うから、
「なぁに。ニヤニヤいい男だなぁって見てればいいワケ? そっちの方が怖いじゃん」
キーボードを叩く手を止めず返事を返すと、何も言わずに溜め息をつかれた。