臨時社長秘書は今日も巻き込まれてます!
意味合いの違いです。
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野村さんが帰ってきて一週間。

空白の期間の引き継ぎと、通常の決済業務、事業部の疑惑究明と、人知れずバタバタしていると余計な事を考えずに済む。

今まで使っていたデスクは野村さんに引き渡し、予備のデスクを前室に入れて、表面上は穏やかにお仕事お仕事。

そして、時計を見て立ち上がる。

「野村さん。コーヒーを淹れますが、お飲みになりますか?」

「え? ああ。丁度いいね。少し休憩にしましょうか」

58歳で孫がいる野村さん。声が低く重低音でとてもダンディだ。

白髪混じりの髪はフサフサだし、真面目な表情をしていたら渋いおじ様だけど、笑うと子供っぽさが顔を出す。

うん。笑うと恵比寿様に見えてしまうのは、野村さんがタレ目だからかな。

「西澤さん……いつも同じ時間にコーヒーブレイクするんだね」

「社長が……いつもこのくらいの時間に休憩なさるじゃないですか」

「ああ。そうなんだ。そう言われるとそうだね。以前からこのくらいになると出てきていたかもしれないね」

笑いながら給湯室に向かい、コーヒーを淹れてからそれぞれのデスクに置いて、最後に執務室のドアをノックして静かに開いた。

珍しく社長は、デスクの上にファイルをいくつも乗せて目を細めている。

そして、入ってきた私に気がついて溜め息をついた。
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