臨時社長秘書は今日も巻き込まれてます!
「もう、そんな時間か」
「はい。事業部の方ですか?」
カップをデスクに置きながら、広げられたファイルを覗き込む。
「ああ。実に巧妙だ。あそこの所長はかなり大雑把な人間なんだが、音羽も間違いなく絡んでいるんだろうな」
音羽さん……。ああ、事務主任のひょろ長男子か。
頷きながら傍らに買ってきたマドレーヌを置いた。
「何か必要なものはありますか?」
「……必要なものか。癒やしが欲しい」
真面目な表情でキリッと言う事じゃないし。
何を言ってんのかね。
「明日の休日にドライブされてはいかがです? 気分転換になるでしょう」
「一人でか? 楽しくない」
おいおいおい。ドライブは社長の趣味なんでしょうが。
そう思ったけど、彼は一瞬考えるような素振りをして、いきなり良いことを思いついたように目を輝かせて私を見上げてくる。
「野村の復帰祝いでもするか?」
「復帰祝い? 今更ですか?」
まるまる一週間経ってるじゃないか。
「後はお前の慰労会。来週半ばには元の常務補佐に戻るんだろう?」
困ったように笑われて、小首を傾げた。
「表向きは。いつまでも臨時でいられませんから。でも、内容的にはしばらく野村さんの補佐につきますが」
現状、社長と副社長は事業部の方にかかりきりになっている。
だけど、事が事だけに今は水面下で動くしかなくて、溜まっていく通常業務は、私と野村さんでこなしていた。
「はい。事業部の方ですか?」
カップをデスクに置きながら、広げられたファイルを覗き込む。
「ああ。実に巧妙だ。あそこの所長はかなり大雑把な人間なんだが、音羽も間違いなく絡んでいるんだろうな」
音羽さん……。ああ、事務主任のひょろ長男子か。
頷きながら傍らに買ってきたマドレーヌを置いた。
「何か必要なものはありますか?」
「……必要なものか。癒やしが欲しい」
真面目な表情でキリッと言う事じゃないし。
何を言ってんのかね。
「明日の休日にドライブされてはいかがです? 気分転換になるでしょう」
「一人でか? 楽しくない」
おいおいおい。ドライブは社長の趣味なんでしょうが。
そう思ったけど、彼は一瞬考えるような素振りをして、いきなり良いことを思いついたように目を輝かせて私を見上げてくる。
「野村の復帰祝いでもするか?」
「復帰祝い? 今更ですか?」
まるまる一週間経ってるじゃないか。
「後はお前の慰労会。来週半ばには元の常務補佐に戻るんだろう?」
困ったように笑われて、小首を傾げた。
「表向きは。いつまでも臨時でいられませんから。でも、内容的にはしばらく野村さんの補佐につきますが」
現状、社長と副社長は事業部の方にかかりきりになっている。
だけど、事が事だけに今は水面下で動くしかなくて、溜まっていく通常業務は、私と野村さんでこなしていた。