臨時社長秘書は今日も巻き込まれてます!
「セ、セクハラ!」

「純然たる事実ってだけだ」

「人間いっていい事と悪いことがあります!」

「別に悪口ではない」


……ダメだ。この人と話をしていると頭がおかしくなってきそうだよ。


だいたいね、めちゃくちゃ高級感あふれるお店ってだけで倒れそうだったのに、アレを出せ、これを出せって社長が言うから、私は着せ替え人形状態だったし。

くらくらしていたら、社長が隣に立って腰を支えて歩き出した。

「え。あ、あの社長。お支払い……」

「さっき済ませた。このまま違う店に行くぞ」

済ませた? いつの間に……。

あ。もしかしてさっきの紙きれにサイン?

「だ、ダメですから。こんなお店の、しかもこんなドレスみたいなワンピース。絶対に高いに決まってますから!」

「当たり前だろう。噂にするためにはそれくらいしないと。お前、俺の恋人として噂になってもらう予定なんだぞ? よく考えてみろ、俺は恋人になった女に服も買ってやらないような甲斐性なしなのか?」

甲斐性なし……いや経済力だけでもかなりの頼り甲斐があるでしょうよ。

「後で支払いで後悔しても知りませんよ。女性のものって高いんですから」

「男性用もピンキリだぞ。女性は装飾品も多種多様だがな」
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