臨時社長秘書は今日も巻き込まれてます!
装飾品……その言葉に店を出てから戦慄した。

「まさかアクセサリーも買うつもりじゃないでしょうね!?」

「26歳の女が装飾品無しじゃ格好つかないだろう?」

さも当たり前のように言っているけど、全然当たり前じゃないからね!

「金属アレルギーとでも言えばいいじゃないですか」

噛みつくように言うと、少し乱れて落ちた髪を、当然のようにするっと耳にかけてくれながら社長は首を傾げる。

「パーティーには秘書課の人間も裏方として出入りする。お前、ピアスは普段からつけているだろう? 金属アレルギーは通らないんじゃないか?」

身に着けているピアスを、さりげなく指先で触れられて真っ赤になった。

女の身体にそうホイホイ触るんじゃないよ!

って、ちょっと待って?

「まさか、社内の人間も騙すつもりですか?」

「当たり前だ。お前は社内ではうまく立ちまわっているわけだが、事実を知る人間は少なければ少ない方がいい。情報戦の常識だろう」

情報戦って、これは戦争なんだろうか?

まだ結婚はしたくないから女性を遠ざけておきたい社長と、社長という格好の獲物を釣り上げたい未婚女性と。

理解しがたい世界が展開しているよ?
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