臨時社長秘書は今日も巻き込まれてます!
一番下に羽柴さん。その上に野村さん。

その後ろには詩織と春日井さんがいて、彼女たちの後ろには飯村さん親子が立っていた。

「何してるんだ、お前たち」

「あ。いえ。社長があまりにもご立腹だったので、西澤さんが心配で」

羽柴さんは潰されながらも、人の良さそうな笑顔で社長を見上げる。

……白々しいにも程があり過ぎだと思うよ。羽柴さん。

冷たい視線で彼らを見下ろす社長の表情は、絶対零度を保っていた。

「ついでだ。羽柴、これはどういう意味だ?」

私が持っていた釣書を指差すと、悪びれずに羽柴さんはニッコリと微笑む。

「野村さんに色々聞きましたよ。若者の背中を押して差し上げるのも、年輩者の努めであろうと意見も一致しましたし。明日、社長を呼び出す予定でした」

「あなたは誘うのが苦手のようでしたから、画策させて頂きました。ですが……そうなる前に、社長が行動を起こしたみたいで何よりです」

にんまりと頷きあう狸親父どもを睨みつけ、社長は疲れたように私を見下ろした。

「じゃあ、明日はデートだな」

「え。あの……そうなります?」

「せっかくのお膳立てだ。俺は誘うのが下手らしいし。一石二鳥だろ」

なんか……それって意味が違うような気がする。

だけど、狸親父たちはニヤニヤするだけだし、詩織と春日井さんは手を取り合って何故か飛び跳ねてるし、飯村さんはお腹抱えて大爆笑、副社長は微笑みを浮かべながら頷いていたら、私は何も言えなくなった。

……これでいいんだろうか?








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