臨時社長秘書は今日も巻き込まれてます!
「それを着た時の美和を思い出して、実感したよ」

一目惚れ体質ってことを?

「どういう意味?」

「着物をモチーフにしてるから、首から鎖骨に掛けて、胸元まで結構開いてるだろ?」

……うん。今日はだから、中に実はキャミソール着てる。

「よく似合っていて、それ以上に鎖骨がエロくて、めちゃくちゃ男として反応したよな」

自嘲気味だけど、とんでもない発言に目を瞠った。

「え……ちょ……」

「引くなよ? 男なんてそんなもんなんだよ。だいたい男から洋服プレゼントされる時には気をつけろ」

「き、気をつけるの?」

「いい事を教えてやる、小娘」

そういう時ってあまりいい事じゃないから、聞きたくないんだけど。


赤信号で車を停めながら、彼は爽やかな笑顔で私を見た。

「男から女に、洋服をプレゼントするのは“お前の服を脱がしたい”って意味な?」

そう言って彼は身を乗り出して来て、熱くて柔らかい感触が唇に押し付けられる。


……ちょっと待て。

初チューが車内って、どういうシチュなんだ!

驚いて見開いたままの目の前に、整い過ぎる彼の顔。


悶え殺す気なんだろうか?

そう思ったのと、指先でするりと鎖骨に触れられたのは同時で、ビクッと震えた拍子にキスの角度が変わり、柔らかいモノが唇を割って入り込んできた。

思わずギュッと目を瞑ると、からかうように唇を舌先で嘗められて、離れていく温もり。

「……次回から気をつけろ?」

そう言った彼の言葉は少し掠れていた。
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