臨時社長秘書は今日も巻き込まれてます！
時折来るメールをチェックしながら午前中を過ごして、お昼になると社長は最上階の会長室へ呼び出され、私は社食に顔を出した。


そして突き刺さる視線。


開いていた席に昼食のトレイを持って座ると、ツカツカと春日井さんが近づいてくる。


「少しよろしい？」

彼女の怒ったような表情を見るからに、あまりよろしくない事のような気がするんだけど。


「……なんでしょうか？」

「どうやって社長に取り入ったの、あなた」

私が社長に取り入ったんですか？

あまりと言えばあまりの言葉に驚いて、キョトンと彼女を見上げる。


「本来なら私が臨時秘書になる予定だったのに、いつの間にかあなたに決まっていたわ。それもまだ一週間もしていないのに社長と婚約だなんて」

彼女は忌々しそうに呟いて私の顔を見つめると、気を取り直したように艶然と微笑む。

「ご教授願いたいわあ。どうやってあの社長と？　あなた社長と寝たの？」

寝た？　これはネタではないよね？

いや、やっぱりネタかな？

春日井さんは間違いなく、私が社長といけない関係を築いているものと思っているっていう事？

だいたい春日井さんが臨時秘書になる予定は……確かにあったのかもしれないけど、社長自ら遠慮していたよ。

噂が変な風に入り混じってごっちゃになっているみたいだけど。本当に馬鹿じゃないのかな。
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