臨時社長秘書は今日も巻き込まれてます!
私も、普段はここまで会社にいたことがないからわからないけど、そういう事?

え。待って? 仕事と孫って孫が優先されるの?

それってあり?


「知りませんでした。結構融通がきく会社だったんですね」

「問題がなければな。うちは育休も認めてる会社だろうが。どっちでもいいけど、いるんなら飯に付き合え」

「え。帰りたい……」

それに社長とご飯なんて、面倒くさい。

どうしてプライベートまで社長に付き合ってあげないといけないんだ。


「少しくらい付き合ってくれてもいいだろ。それとも男が待ってるのか?」

「いろんなことに巻き込んでおきながら、今更そういう事を言うんですか」


彼氏などいるはずがないだろうが。

真面目な顔をすると、真面目な顔を返された。

「冗談に決まっているだろう。だいたい男がいるなら、さすがにこの茶番には付き合ってくれないだろうとは思う」

右手のリングを指差されて視線を落とした。

……嘘を言わないだけの、実は嘘の関係の事ですかね?

まぁ、茶番劇と言われたら、確かに茶番劇だよね。私はどちらでもいいんだけど。


「社長のおごりですかー?」

「お前な。誘った男が普通支払うものだろう。どんなケチな男と付き合ってきたんだよ」

「そんなのはいません。じゃ、カップ洗ってきちゃいますね」

パソコンをシャットダウンしてカップ片手に立ち上がると、とても奇妙な表情を浮かべている社長と目が合った。
< 54 / 255 >

この作品をシェア

pagetop