臨時社長秘書は今日も巻き込まれてます!
「もう、六年にもなっていますのに?」
社長は一瞬だけ驚いたように目を見開き、それからすっと視線を逸らして庭園の方を見る。
「お前は健全だな」
「おかげさまで……というか、取材を断っても前社長夫妻が亡くなったのは事実ですし、社長がこの業界では異例の若さなのも事実じゃないですか」
間違ってはいないし、事実だけど。
あまり構われたくないって事かな?
「いずれか1社を選んで、できるだけセンセーショナルに書きたてない会社を選ぶとか……」
「いや。今は時期的にもまずいな」
時期的にもまずい?
キョトンとしたら「失礼いたします」と声がかかり、着物を着た女性がお料理を持って入って来たから口を閉じる。
「どうぞ、ごゆっくりなさってくださいませ」
にっこりと微笑む彼女に微笑みを返し、並べられた料理を眺めた。
えっと……一口大のお豆腐。その上には梅肉の薄紅色。
こっちはオクラの和え物。
最期に小さくカットされたトマト。
それぞれが小さな器に盛られている。
「先付だな。突き出しとかお通しともいう」
教えてくれる社長に微笑みを漏らした。
正直に“わかりません”と言ったから、教育してくれるようだ。
「ありがとうございます。本気で懐石料理っぽいですね。それで、今は時期的にまずいとは?」
「……今は、お前との関係を“婚約者”として発表されそうになっている。なので、取材は受けていない」
あっさり言われて口をあんぐりと開けた。
ええええええ。
社長は一瞬だけ驚いたように目を見開き、それからすっと視線を逸らして庭園の方を見る。
「お前は健全だな」
「おかげさまで……というか、取材を断っても前社長夫妻が亡くなったのは事実ですし、社長がこの業界では異例の若さなのも事実じゃないですか」
間違ってはいないし、事実だけど。
あまり構われたくないって事かな?
「いずれか1社を選んで、できるだけセンセーショナルに書きたてない会社を選ぶとか……」
「いや。今は時期的にもまずいな」
時期的にもまずい?
キョトンとしたら「失礼いたします」と声がかかり、着物を着た女性がお料理を持って入って来たから口を閉じる。
「どうぞ、ごゆっくりなさってくださいませ」
にっこりと微笑む彼女に微笑みを返し、並べられた料理を眺めた。
えっと……一口大のお豆腐。その上には梅肉の薄紅色。
こっちはオクラの和え物。
最期に小さくカットされたトマト。
それぞれが小さな器に盛られている。
「先付だな。突き出しとかお通しともいう」
教えてくれる社長に微笑みを漏らした。
正直に“わかりません”と言ったから、教育してくれるようだ。
「ありがとうございます。本気で懐石料理っぽいですね。それで、今は時期的にまずいとは?」
「……今は、お前との関係を“婚約者”として発表されそうになっている。なので、取材は受けていない」
あっさり言われて口をあんぐりと開けた。
ええええええ。