臨時社長秘書は今日も巻き込まれてます!

考えてなかったなー。

そっか。

そういう方面で書きたてられちゃうこともあるんだー。


「確かに俺が会社で仕事を采配しているとはいえ、会社から出るとまだ青二才扱いされているのは間違いない」

いきなり話始めた社長に、慌てて口を閉じた。

「今はその部分で副社長に頼っているところは多大だ。それに自分が未熟であることは俺が一番知っている」

真面目に話し続ける彼を静かに見つめる。

ちょっと……唐突すぎてついて行きにくいけど、真剣なのはわかるから。

「せめてそれを“前社長夫妻が突然事故死したから”と言われないようにしたい」

「言われないように?」

「ああ。そうする為には基盤がまだ出来ていない。俺がうちの会社にとって丁度いい“広告塔”であることも理解しているが、宣伝の理由が“それ”では、働いてくれている社員に申し訳が立たない」


驚いた……。

だいたい社長自ら“自分は未熟”だと言い、“社員に申し訳が立たない”なんて言うなんて。


正直、ただ社長だから偉そうにしているんだと思った。

確かに、両親が亡くなって転がり込んできた社長職だし……会長が指示しているんだろ?的な考えをしている噂も根強い。

だけど実際、社長がきちんと細かいところまで確認した上で決済している。


私だって臨時でも秘書だもの。

彼の仕事内容は把握はしているし、そこに会長が横やりを入れてきたり、副社長が手伝っているなんて事がないのは知ってるもんね。

私も実は手伝ってもらってる感じなのかなって、心の片隅では思っていたから、感心したりもしていた。

……28歳の若造が、会社を背負って立ったわけだよね。

その話が一人歩きするのもわかるけど。

しかも、彼が采配を振るうようになってから業績が伸びてもいるし、話題にはなりやすい。

だけど、それは嫌だと?

基盤……つまりは、違う意味で有名になりたいという事?

誰にも何も言わせないように、努力して……これからもそうするつもりなんだろうなぁ。
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