臨時社長秘書は今日も巻き込まれてます!
思わず吹き出して、笑いながら持っていた包みをデスクに置いた。

「なんだこれは」

「お弁当です。言っておきますが冷凍食品だらけです」

「それはワザワザいう事なのか?」

訝しげな顔をする社長に満面の笑みを返すと、自信満々に人差し指をたてる。

「世の中便利だなーってことです。お弁当箱に入れるだけの自然解凍でもお腹は膨れるし、忙しい朝には助かります」

「いや。答えが違うような気もするんだが。それはうちの商品開発を頑張れって言っているのか?」

確かにうちの冷凍食品は、レンチンしないといけないものだらけだけど。

うちは正確には食品会社じゃないし。

それは仕方がないっていうか、ちょっと分野が違うっていうか。


「……私もよくマイペースって言われますけど、社長もマイペースですよねー」

「それは初めて言われたぞ。しかも絶対にお前に言われたくない」

「私は普通です!」

「どこが普通だよ。普通、頼まれもしないのに弁当作ってくるか?」

「あなたがちゃんと食べに行けば作りません」

ギリギリと睨み合っていたら、

「君たちは仲良しだよねぇ」

いつの間にか社長室のドアが開いていて、副社長が苦笑しながら立っていた。
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