臨時社長秘書は今日も巻き込まれてます!
生まれてから両親と話もせずに、いわゆるお世話役ばかりと会話を成立させてきたのか。

「考えてみたら、社長ってけっこう私に対して思ったままな言葉遣いですもんねぇ」

そりゃ~社外じゃ、さすがに敬語を使う。

副社長には……二人でいる場合は敬語はないけど、確か副社長秘書の寺脇さんの前では敬語だったし。

羽柴さんと話していた時はそもそも偉そうで……私にもいつも偉そうで、そして最近は“超”口が悪くなってきた気もする。

「偉そうなのが素なんじゃないですか」

ポツリと呟いたら、何故か社長は不貞腐れたような顔をした。

それは一瞬だったけど、見逃さなかったもんね。

「どっちでもいいだろ」

「はい。私には関係ない話ですし。確かに社長が社員にペコペコしていたら問題ですもん。主に見た目的に」

「ともかく……祖父さんの米寿祝いについて相談がある」

急に話が180度くらい変わった気がしたけれど、真面目な表情に戻った彼に姿勢を正す。

「私は、隣に立っていればいいだけですよね」

「ああ。それはどちらかと言うとピッタリくっついていろ」

はあ?

「ピッタリですか?」

それは難しい気がする。

だって、あなたって会長の祝辞を頼まれているでしょう?

さすがに始終ピッタリ張り付いている訳にはいかない……。
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