さよなら、世界のレビュー一覧
平均評価星数
5.0
2016/09/14 08:01
投稿者:
馳月基矢
さん
飛べ。限界を知って、可能性を信じて。
瑞穂の目には、誰もが「穴顔」にしか映らない。 顔があるのは、新しい家族だけ。 恐怖の対象、母親代わりの人。 冷たく苛立った、腹違いの兄。 単身赴任中の無責任な父。 瑞穂の世界そのものだった母はもういない。 私は母に裏切られたの? 誰の言葉を信じればいいの? 私は存在していていいの? 学校で「穴顔」じゃない人に出会った。 溌剌とした美少女のマリ。 自由自在に飛び回る遊馬。 穴顔とそうじゃない人の違いは何? ときどき訪れる鮮明な白昼夢の正体は? 私に手を差し伸べる彼らは何を思っている? 傷付け合ってしまった不器用な家族は、やがて互いを見つめ合う。 目に見えるもの、見えないもの。 大切な感情は、真実は、どこにあるのか。 少しずつ顔を上げていく瑞穂と、彼女を救いたい皆の思いがようやく噛み合う瞬間は、「温かい、優しい」だけでは言い表せません。 瑞穂が見届ける「さよなら」が胸に迫りました。
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