引越し先のお隣は。


「「いっただっきま〜す!!」」



「いただきます…で、これなに」



「見ての通りオムライスですが?」



彼方は、は〜?って顔してあたしを睨みつける。



「彼方は準備手伝わなかったからあたしが作った失敗作。あたしとさくらちゃんは、さくらちゃんが作ってくれた綺麗なやつ〜」



「はぁ!?俺もさくらが作ったのが良かった」



「文句言わないの。味は美味しいって保証するから〜」



「まじかよ、これでかよ」



「そんなのは食べてから言ってください」



するとさくらちゃんは急に笑った。



「どうかした?さくらちゃん」



「あ、いや。二人の会話が面白くてさぁ」



「え?そう?」



「ちげー、さくら。それはこいつがバカだから」



「まった人をばかだのこいつだの!」



そんな言葉を。



いつもお母さんに怒られてるでしょ!?



「もう面白くて、笑い止まらないし」



さくらちゃんはあたし達にそう言った。



でもまぁ、さくらちゃんが笑ってくれるなら



悪くは無い。



「ん、まあまあじゃん」



「美味しいって素直に言え!」



「そういえば瞬さんは?呼べば良かったのに」



「今日はふたりが良かったんだよね〜夏芽」



「え?え?」



そうなの?



「ふーん、俺がいても良かったの」



「彼方くんは別でしょ」



「どーせ夏芽の恋バナとかだろ」



「おっ!よくお分かりで。彼方くんさすが」



「まじかよ」



「恋バナ!?あたし聞いてないよそんなの!」



「夏芽と色々話したくてね。先生の事とか?」



「ぶっ!だからそれは違うんだ…」



「ええ!なに!?おまっ、先生に手出してんの!」



「ちょっと!!変な言い方しないでもらえます!?」



「やべー、それ話聞きてーかも」



「彼方は引っ込んでて!」



彼方に話したらめんどくさいことになるんだから。



「あははっ、夏芽、どうなの?」



「へ?」



「三浦先生。好き?とか」



「…」



ふたりがあたしを見つめる。



なんで?なんでこうなってるの?



先生は先生だし。



好きって感情は…。



「好きではないよ」



好きって感情、分からないから。あたしには。

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