引越し先のお隣は。

ただ今お昼休みです。



しかも今日はついてないし。



たった5分くらい前のことなんだけど…。



『じゃんけんぽん!』



『よっしゃ』


『きゃーー!』



『…なんで〜』



『という事だから。宜しく』



『ごめんね、夏芽』



『ううん、今日はあたしが負けたんだから。なら買ってくるね』



教室を出ようとしたあたしに



『夏芽!』



さくらちゃんがあたしを呼び止めた。



『ん?』



『あたしも下まで一緒に行くよ?』



『さくらちゃ〜ん。いや…だけど大丈夫だよ』



『なら早く帰ってきてね!』



さくらちゃんがそう言うと



『佐倉、俺は屋上にいるから。よろしく』



『教室いてよ!』



なんであたしが間宮くんの為にわざわざ屋上までジュースを…



『そういう賭けだからそれは』



『だからって』



『じゃんけんで負けた奴誰かなー』



『もー分かったよ』



はいはい持ってくればいいんでしょ、はいりー。



あたしはムカムカしながらも教室を出た。



そうなんだよね、あたしも佐倉なんだよね。



さくらちゃんと同じで。



さくらちゃんからしたら間宮くんの『さくら』は紛らわしいね。



あれ…そういえばさくらちゃんの事、間宮くんってなんて言ってるっけ。



ん?



思い出せない。



と言うか呼んだことある??



んー、



謎。




「あー、颯志だ〜」



「やっぱかっこい〜」



「あれ先生、髪色暗くなった??」



まただ。



女の子に囲まれまくっている三浦先生。



先生優しいもんね、あたしは興味無いけど。



ていうか…



なんであたしがわざわざ遠回りしてジュース買いに行かなきゃなんないの。



地味に遠いし。



あたしは3本ジュースを抱えてまず屋上に行った。


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