引越し先のお隣は。


屋上に入ったら入ったで…。



やっぱ屋上って苦手ー。



男子しかいないし、暑いし!



男子の集団…



男子の集団にあたしひとり…。



いやむしろあたしは男なのでは?



あ、そうなのね??



毎日が宴のようにワイワイ盛り上がってる集団の中心には、



ジュースを屋上に持ってこいと言ってきた主を見つけた。



が。



行きづらし…。



男子は苦手なんだよあたしは。



だから行きたくなかったのに。



それを未だに分かっていない間宮くん。



本当、大バカ者め。



「おっ、佐倉」



げ。



間宮くんはあたしをその集団に招く。



いややめて〜。



その周りもあたしを見る。



ばりばりガン見されてるあたしどうしよう今なら死ねるわ。



「来いよ、佐倉」



そんな笑顔で呼ばないでー!!



こいつ酔っ払ってる?、



なわけないか。多分。うん。



あたしはゆっくり、恐る恐る近づく。



あの、周りのみなさん、あたしにはお構いなく…。



「さんきゅ。遅かったけど」



「はぁー!?屋上までわざわざ来てあげたんですけどね」



「それ当たり前だから」



「はっ、」



「佐倉お前、あんま負けねぇじゃん?あいつは屋上まで届けてくれるぜ?」



「あいつって…」



さくらちゃん??



「は?日比野だけど」



「あ、そう」



日比野、ね。



さくらちゃんの事、そう呼んでたんだ間宮くん。



「佐倉?」



「は、はい!」



「いやそれ癖?」



「え…」



「ん?」



「いや…で言うかあたし帰りますから。さようなら」



「待てって佐倉」



「なに!」



「こいつがさ、佐倉に話したいことあるらしいぜ?」



「はい?」



間宮くんが指さした方を見ると、



その先には少し頭を下げる黒髪の真面目で



爽やかそうな男の子が。



…ダレデスカ。



「せっかくだし話してこいよ、翔平」



いやだからなんでそうなる。



ていうか誰ってばー。



さくらちゃん待ってるし早く教室戻りたいんだけど。



「ちょっといい?」



気づけばその人はあたしの目の前にいて、



「あ、はい…」



周りもヒューとか言ってるし。



仕方ない少しだけなら。



あたしはその翔平くんとやらについてった。



まあ屋上を出ただけなんだけども。




「あの、なんですか?」



「俺、関 翔平。佐倉 夏芽ちゃんだよね」



「そうですけど…」



「俺ずっと気になってたんだ、佐倉さんの事」



「…あのあたし…」



あなた知らない…のです。



「知っていくのはこれからゆっくりでいいよ。友達になってほしい」



「え…あ」



「って、言い方可笑しかったよねごめんね」



「いえ。あたしでよければ…」



「まじで!ありがとう!」



「…」



「なら俺は戻るね」



「あ、はい…」



そう言って関くんは屋上に戻っていった。



え…いきなりのこと過ぎて頭回らない。



友達??



同級生??



何組??



それも分からない。



第一印象は、



さらさらな黒髪で、すらっとしてて



身長は175くらいで



爽やかで優しそうで頭良さそうでー…。



…まあいいや。謎のままで。



早く戻ろう。



校舎に続く階段を降る途中、



「佐倉さん先生見たぞー」



そう言ってくしゃっと笑ったのは三浦先生だった。

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