Bitter Chocolate
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ヒカリの父親の容態が急変したのは
ヒカリが武志の元から帰って直ぐの事だった。

それから3日後、ヒカリの父親は息を引き取った。

ヒカリの父親の葬儀に要は可南子と共に参列した。

そこで要が見たものは武志がヒカリの夫だという現実だった。

要はヒカリに声をかけられなかった。

ヒカリは憔悴しきっていて
それを支えてる武志を見ると胸が苦しくなった。

葬儀が終わって一週間後武志は仙台に戻った。

ヒカリは何もする気になれず
ただ家に引きこもっていた。

要は心配になってヒカリに逢いに行ったが
ヒカリは出てこなかった。

暫くしてそんなヒカリを心配して
武志がヒカリを迎えに来た。

「一緒に仙台に行こう。」

ヒカリは仙台には行かず母のいる実家に行くと言った。

ヒカリの実家はヒカリの家から30分ほど車で行った所にある。

母親は兄夫婦と共に住んでいる。

「ヒカリを宜しくお願いします。」

武志がヒカリを連れていくと兄は温かく迎えてくれた。

元々兄は妹のヒカリに甘い。

「大丈夫。ヒカリのことは任せてな。」

「ヒカリ…お帰り。」

母親もヒカリと同様、夫を亡くした悲しみからなかなか抜け出せずにいた。

ヒカリは母と二人で慰め合い、父を時々思い出しては泣いていたが
だんだんと父親の居ない家庭を受け入れて行った。

「お兄ちゃん、私…来週仙台に行くね。」

半年後、ヒカリは実家を出て武志の所へ行くことにした。

ヒカリは一旦家に戻って荷造りしていると
要が家にやって来た。

「ヒカリ…やっと会えた。」

「何しに来たの?」

要はヒカリの髪を撫でてヒカリを抱きしめた。

「何するの?」

ヒカリは要の腕から離れようとしたけど
要は離さなかった。

「お前無しじゃ生きていけない。
武志の所へは行くな。
一緒に居てくれ。」

「やめて。あなたとはもう…そういうつもりは無いから…。
可南子が居るでしょ?
こんなとこ可南子に見つかったから私たちは破滅する。」

それでも要はヒカリに強引にキスをする。

ヒカリはキスされると力が抜けたように
抵抗できなくなった。

「お前となら破滅してもいい。
逢えなくて死ぬほど辛かった。」

そんなことを言う要を放っておけなかった。

そして要に身体を委ねる。

要に抱かれるとずっと我慢していたものが溢れるように
気持ちを抑えられなくなった。

やっぱり要を愛している。

それはもうどうにもならないのだ。

ヒカリはその夜、決意して武志の所へ行った。

「ヒカリ…どうしたんだ?来るのは来週だろ?
こんな夜中に…
それに荷物は?何も持ってこなかったのか?
全部後から届くのか?」

武志はヒカリの様子がおかしいことに気がついていた。

「どうしたんだよ?なぁ、ヒカリ…黙ってないで何とか言えよ。」

「武志…ごめん。
私と別れて…別れてください。」

土下座して謝るヒカリを見ても
武志には何が何だか分からなかった。

「いったいどうしたんだよ?
別れたいって急に言われても…」

「ごめんなさい。…私…要さんが好きなの。」

その言葉で武志の心は一瞬にして凍りついた。



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