Bitter Chocolate
12
その夜、ヒカリは武志と話し合った。

今までのことやこれからのことも…

武志は全く納得できなかった。

「そんなことが許されると思うのか?

要さんとそんな仲だったとは…いつからだよ?」

「武志の先輩だって知る前から…。

ホントに知らなかったの。

ただあの店に迷い混んで一目見たときに…
お互い惹かれあって…
自分でも何でそうなったのか訳がわかんないの。

武志のことが嫌いになったんじゃない。

ただ…どうしようもなくあの人に惹かれるの。

その気持ちを何とかしようと努力したけど…
どうにもならないの。

もう武志に嘘はつきたくない。」

ヒカリの告白は武志にはあまりにも残酷だった。

「俺のことはどうでもいいのかよ?

何でそんな話を俺に言うんだよ?

俺だってお前が居なきゃダメなんだ。」

「武志…お願い。」

「絶対に別れたりしないから。」

武志は思い出していた。

武志は高校生の時、中学生のヒカリに初めて逢ったとき
まるでヒカリが要に逢ったときのように
一瞬で恋をした。

初めてヒカリとキスした夜、
興奮して眠れなかった。

初めてヒカリを抱いた夜は
一生をかけてヒカリを幸せにすると誓った。

そしてヒカリと結婚したときは
本当に幸せだった。

ヒカリと出逢ってから今までヒカリ以外の女に目もくれなかった。

ヒカリ以上の女は居ないと思ったからだ。

ヒカリだけを愛してきた。

ヒカリだって同じだったはずだ。

ずっと武志しか見てこなかったのだ。

なのに他の男に汚されてしまった。

武志はそれを思うと悔しくて居ても立ってもいられなくなった。

その夜、ヒカリを連れて東京に戻った。

そして要の家に行き、
要を思いきり殴った。

要は抵抗せずただ黙って殴られ続けた。

ヒカリはその現実から目を背けて泣いていた。

「ヒカリとは絶対に別れない。

あんたを絶対に許さない。

いいか?ヒカリは俺のモノだ!」

武志は怒鳴るような大きな声でそう言った。

武志はヒカリと家に戻ると必要最低限の荷物をまとめた。

「俺と仙台に行こう。

あとの荷物は週末一緒に整理しにくればいい。」

「武志…待って…」

「別れないよ。別れないから…

俺だってお前が居なきゃ生きられない。」

「お願い。仙台には一緒に行けない。」

武志はその言葉を聞いてヒカリの頬を叩いてしまった。

「黙れ!言うことを聞けよ!」

そしてヒカリに無理矢理キスをして
強引にヒカリを抱いた。

ヒカリはそんな武志にビックリして抵抗できなかった。

武志にされるがまま脚を開き
武志が果てるのを待った。

窓から秋の香りとともに入ってくる生温かい風が
窓辺の風鈴を揺らすのをじっと見ながら
ただ終わるのを待っていた。

「ヒカリ…愛してるんだ。
俺にはお前しか居ない。」

その言葉を聞いたヒカリの瞳から涙がこぼれ落ちた。

「一緒に仙台に行こう。
違う土地でやり直すんだ。」

武志はヒカリの手を取って家を出た。

「最終には間に合うな。」

そしてその夜のうちにヒカリとともに仙台に戻った。


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