Bitter Chocolate
28
「ヒカリ、大丈夫?」
麗子が尋ねると
「ん?何が?」
とヒカリは何でも無いように聞いた。
「要さん、結婚しちゃうんだよ?」
「みたいね…」
「何でか知ってる?」
「別に知りたくない。」
「可南子に子供が出来たって…」
「え?」
ヒカリの顔が一瞬曇ったように麗子に見えた。
「でも多分麗子の嘘だと思う。
要さん、麗子に騙されて責任とる羽目になるんだよ?
ヒカリはそれでもいいの?」
ヒカリは笑顔をつくって頷いた。
「幸せになるならいいじゃない?」
「でも要さんが好きなのはヒカリなんだよ?」
麗子はヒカリが要を引き止めて
自分の気持ちに正直に生きて欲しかった。
「もう終わったの。
私は武志の子供を身籠って、要の事は整理したの。
要だって、許せないはず。」
「だけどそれは武志さんが無理矢理ヒカリを…」
「違うよ。私はあの時武志の奥さんだった。
夫婦だからそういうことがあるのは当たり前でしょ?
そんな風に思ったら赤ちゃんが可哀想だから…。」
それでも望まれない子供だったと麗子は思っていた。
それを口には出来ないけど…
麗子にしてみたら親友のヒカリの幸せの方が大事だった。
「ヒカリさん、来てくれたんだ?」
ヒカリは振り向いたが一瞬誰だかわからなかった。
「え?鷺沼さん?」
「昔みたいに惠佑くんて呼んでよ。」
確かに目の前の男は昔見た銀髪の坂井惠佑だった。
髪は銀髪ではないがワックスでいつもと全然違うスタイルになっていて
いつもスーツ姿の鷺沼惠佑からは想像も出来ないほど
派手なカッコをしていた。
回りの女の子がキャーキャー言って、
辺りは騒然となった。
「ケースケーっ!」
黄色い歓声があがって
ヒカリはただビックリした。
「あ、ヒカリさんのいつも隣にいた…えっと…」
「麗子です!
今日はお招きありがとう!」
「そうそう麗子さん!覚えてますよ。
美少女二人組でしたもんね。
相変わらずお綺麗ですね。」
鷺沼惠佑はふだん接客業をしてるだけあって
明るくて感じがよくて…誉め上手でもある。
麗子は中学の時、この惠佑を少しだけ好きだった事を思い出した。
でも惠佑はいつもヒカリしか見てなかった。
「楽しんでって下さいね。
終わったら酒でも飲みましょう!」
ステージが始まると惠佑はホントに別人のようにスターだった。
その歌声を聴いて涙する女子が沢山いた。
そしてヒカリもその歌を聴いて
涙が自然と出てくる。
~俺たち二人不思議な位に惹かれあって、
ワケわかんなくなるくらい愛し合って、
それが例え許されなくても俺はお前を離したくなくて~
その歌詞がヒカリの胸の中にストンと落ちてきた。
ヒカリは要を思って泣きながら
その惠佑の切ない歌声を聴いていた。
麗子が尋ねると
「ん?何が?」
とヒカリは何でも無いように聞いた。
「要さん、結婚しちゃうんだよ?」
「みたいね…」
「何でか知ってる?」
「別に知りたくない。」
「可南子に子供が出来たって…」
「え?」
ヒカリの顔が一瞬曇ったように麗子に見えた。
「でも多分麗子の嘘だと思う。
要さん、麗子に騙されて責任とる羽目になるんだよ?
ヒカリはそれでもいいの?」
ヒカリは笑顔をつくって頷いた。
「幸せになるならいいじゃない?」
「でも要さんが好きなのはヒカリなんだよ?」
麗子はヒカリが要を引き止めて
自分の気持ちに正直に生きて欲しかった。
「もう終わったの。
私は武志の子供を身籠って、要の事は整理したの。
要だって、許せないはず。」
「だけどそれは武志さんが無理矢理ヒカリを…」
「違うよ。私はあの時武志の奥さんだった。
夫婦だからそういうことがあるのは当たり前でしょ?
そんな風に思ったら赤ちゃんが可哀想だから…。」
それでも望まれない子供だったと麗子は思っていた。
それを口には出来ないけど…
麗子にしてみたら親友のヒカリの幸せの方が大事だった。
「ヒカリさん、来てくれたんだ?」
ヒカリは振り向いたが一瞬誰だかわからなかった。
「え?鷺沼さん?」
「昔みたいに惠佑くんて呼んでよ。」
確かに目の前の男は昔見た銀髪の坂井惠佑だった。
髪は銀髪ではないがワックスでいつもと全然違うスタイルになっていて
いつもスーツ姿の鷺沼惠佑からは想像も出来ないほど
派手なカッコをしていた。
回りの女の子がキャーキャー言って、
辺りは騒然となった。
「ケースケーっ!」
黄色い歓声があがって
ヒカリはただビックリした。
「あ、ヒカリさんのいつも隣にいた…えっと…」
「麗子です!
今日はお招きありがとう!」
「そうそう麗子さん!覚えてますよ。
美少女二人組でしたもんね。
相変わらずお綺麗ですね。」
鷺沼惠佑はふだん接客業をしてるだけあって
明るくて感じがよくて…誉め上手でもある。
麗子は中学の時、この惠佑を少しだけ好きだった事を思い出した。
でも惠佑はいつもヒカリしか見てなかった。
「楽しんでって下さいね。
終わったら酒でも飲みましょう!」
ステージが始まると惠佑はホントに別人のようにスターだった。
その歌声を聴いて涙する女子が沢山いた。
そしてヒカリもその歌を聴いて
涙が自然と出てくる。
~俺たち二人不思議な位に惹かれあって、
ワケわかんなくなるくらい愛し合って、
それが例え許されなくても俺はお前を離したくなくて~
その歌詞がヒカリの胸の中にストンと落ちてきた。
ヒカリは要を思って泣きながら
その惠佑の切ない歌声を聴いていた。