Bitter Chocolate
4
思えばヒカリは武志以外の男に免疫がない。

大人っぽかったヒカリは
中学の頃、近くの高校に通う武志に告白されて
そのままずっと武志と付き合ってきた。

武志はヒカリのことを隣の高校の生徒だと勘違いして告白した。

その時ヒカリは中学2年生で武志は高校3年生だった。

結局、武志は高校を卒業するまで
ヒカリが中学生だと知らなかった。

そして二十歳になったばかりの時にそのまま結婚したのだ。

ヒカリはまだ23歳でほとんどの友達が未婚だ。

中学生の頃の4つの年の差はとても大きかった。

でも二十歳を過ぎるとそうでもなく思える。

ヒカリはこの年になって時々思っていた。
もっと別の人生もあったかも…と。

武志に飽きたとかそういう訳じゃない。

ただ、あまりにも早く結婚した気がして
みんなのように合コンしたり色んな人とデートした経験もない。

武志の事は愛してるし…冷めたわけでもないけど…

もちろん武志より素敵だと思える男も今まで居なかったのだが…

自分の人生は何となくつまらない気がしてた。

だから武志以外の男に触れられたのはヒカリにとって初めての事だった。

武志以外の男を好きになるのも…



「ヒカリ…今日、元気なかったな?」

武志がヒカリを心配した。

武志だって高校3年からずっとヒカリだけを思ってきた。

結婚を急いだのも
大人になるにつれどんどん綺麗になっていくヒカリを誰にも取られたくなかったからだ。

ヒカリはそのくらい綺麗で可愛かった。

武志はヒカリが何度も他の男に告白されてた事を知ってる。

それでもヒカリは武志以外の男に見向きもしなかった。

武志はカッコ良かったし、
同じ年の男の子より大人で誰より素敵に思えたからだ。

要に逢うまでは…誰にも…。

でも今はそう思った事を後悔してる。

要は一度の浮気を盾に
これからもヒカリに迫ってくるかもしれない。

だけど心のどこかでそれを望んでる自分もいる。


そんなとき、可南子から呼び出された。

「ヒカリ…ちょっと逢えない?
付き合って欲しい所があるの。」



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