Bitter Chocolate
45
利秀に尾け回されて怖かったはずなのに
要に抱きしめられるとヒカリの胸は高鳴った。
ヒカリは我を取り戻し、要の胸から離れた。
「ヒカリ…大丈夫か?」
「うん。少しだけここに置いて。」
「そんな事言わないでずっとそばに居てくれよ。
あの男、俺がここに住んでるって知らないよな?」
「知ってたら真っ先にここに来るよ。
でも私の引っ越し先がどうしてわかるんだろう。
引っ越してまだ間もないのに…」
「そういうの探してくれる人とかに依頼してるのかもな。」
要が警察に事情を話して男はまた連れて行かれ
ヒカリに接近することを禁止された。
ヒカリは少し安心して生活したが
事態は最悪な方向へ進んだ。
男は警察で言われたことを守らず
ヒカリに対する愛情を持て余し
思いもよらない行動を起こした。
ヒカリに逢えないことに苛立ち
怒りの矛先は要に向かい、
要は突然、店に乱入してきた利秀にナイフで刺された。
店には客が何人かいて
悲鳴をあげる人、外に助けを求める人などで
一帯は騒然となった。
誰かが通報して利秀は捕まり
要は救急車で運ばれた。
ヒカリはその時、実家に帰っていて警察からの連絡でそのことを知った。
急いで病院に駆けつけたが、要は意識不明の重体だった。
警察が話を聞きに来たがヒカリはそれにちゃんと答えられる状態ではなかった。
落ち着いてしばらくしてからヒカリは警察に行き事情を話した。
要は自分のせいで狙われたのだと涙を流して要の回復を待った。
心配した麗子とヒロがお見舞いにやってきた。
「ヒカリ…大丈夫?
ヒカリのせいじゃないよ。
刺した男がいけないんだから。」
「でも、私と関わらなければ要は今でも元気だったの。」
「きっと回復するよ。だからそんなに思い詰めないで。」
2人に慰められてもヒカリは自分を責めた。
そして事故から10日過ぎても要の意識は戻らないままだった。
ヒカリは要が生死を彷徨ってるあいだ、
色んなことを考えた。
要が居なくなったら自分も後を追うつもりでいる。
要の居ない人生はヒカリにとっても堪え難いものだと知った。
要の両親と兄が徳島から出てきた時、
要の母はヒカリの顔を見るなりこう言った。
「帰ってください。
あなたの顔は見たくありません。
要がこうなったのはあなたのせいなんでしょ?」
ヒカリは何度も謝って部屋を出た。
今では部屋にも入れずにいるが
ヒカリは毎日病院まで行き、
要の家族に顔を合わせないように見守っていた。
ヒカリは事件の後、
実家に帰って母と兄夫婦と暮らしていた。
兄はヒカリの為に利秀との間に入ってくれた要に感謝していた。
毎日病院に通うヒカリを止めようとはもうしなかった。
「ヒカリ…俺も病院に見舞いにいくよ。」
ヒカリは要の母親に病室にも入れて貰えない状態なのを兄を知られたくなかった。
「要さんの意識が戻ってからにして。
今は行っても寝てるだけだから。」
ヒカリはなんとか兄が来るのを食い止めた。
そして事件から2週間後、未だ目覚めない要の容体が急変した。
要に抱きしめられるとヒカリの胸は高鳴った。
ヒカリは我を取り戻し、要の胸から離れた。
「ヒカリ…大丈夫か?」
「うん。少しだけここに置いて。」
「そんな事言わないでずっとそばに居てくれよ。
あの男、俺がここに住んでるって知らないよな?」
「知ってたら真っ先にここに来るよ。
でも私の引っ越し先がどうしてわかるんだろう。
引っ越してまだ間もないのに…」
「そういうの探してくれる人とかに依頼してるのかもな。」
要が警察に事情を話して男はまた連れて行かれ
ヒカリに接近することを禁止された。
ヒカリは少し安心して生活したが
事態は最悪な方向へ進んだ。
男は警察で言われたことを守らず
ヒカリに対する愛情を持て余し
思いもよらない行動を起こした。
ヒカリに逢えないことに苛立ち
怒りの矛先は要に向かい、
要は突然、店に乱入してきた利秀にナイフで刺された。
店には客が何人かいて
悲鳴をあげる人、外に助けを求める人などで
一帯は騒然となった。
誰かが通報して利秀は捕まり
要は救急車で運ばれた。
ヒカリはその時、実家に帰っていて警察からの連絡でそのことを知った。
急いで病院に駆けつけたが、要は意識不明の重体だった。
警察が話を聞きに来たがヒカリはそれにちゃんと答えられる状態ではなかった。
落ち着いてしばらくしてからヒカリは警察に行き事情を話した。
要は自分のせいで狙われたのだと涙を流して要の回復を待った。
心配した麗子とヒロがお見舞いにやってきた。
「ヒカリ…大丈夫?
ヒカリのせいじゃないよ。
刺した男がいけないんだから。」
「でも、私と関わらなければ要は今でも元気だったの。」
「きっと回復するよ。だからそんなに思い詰めないで。」
2人に慰められてもヒカリは自分を責めた。
そして事故から10日過ぎても要の意識は戻らないままだった。
ヒカリは要が生死を彷徨ってるあいだ、
色んなことを考えた。
要が居なくなったら自分も後を追うつもりでいる。
要の居ない人生はヒカリにとっても堪え難いものだと知った。
要の両親と兄が徳島から出てきた時、
要の母はヒカリの顔を見るなりこう言った。
「帰ってください。
あなたの顔は見たくありません。
要がこうなったのはあなたのせいなんでしょ?」
ヒカリは何度も謝って部屋を出た。
今では部屋にも入れずにいるが
ヒカリは毎日病院まで行き、
要の家族に顔を合わせないように見守っていた。
ヒカリは事件の後、
実家に帰って母と兄夫婦と暮らしていた。
兄はヒカリの為に利秀との間に入ってくれた要に感謝していた。
毎日病院に通うヒカリを止めようとはもうしなかった。
「ヒカリ…俺も病院に見舞いにいくよ。」
ヒカリは要の母親に病室にも入れて貰えない状態なのを兄を知られたくなかった。
「要さんの意識が戻ってからにして。
今は行っても寝てるだけだから。」
ヒカリはなんとか兄が来るのを食い止めた。
そして事件から2週間後、未だ目覚めない要の容体が急変した。