セールス婚 〜負け組仮確定の私が勝ち組に成り上がるまで〜
この会社にやって来てから約7年。難波の事はよく知っているつもりでいたけれど、意外と知らないことがあるらしい。
そんな私は、自分だけじゃなくて難波にも幸せになってほしいと考えたけれど、今の自分じゃあ何のアドバイスも出来ない。だから、何が何でもこの安売り大作戦を成功させる必要がある。そして、きっと、私の手で難波にも幸せになってもらおう。そう思った。
「難波!」
「ああ、安井か。おはようさん」
翌朝、私は会社にやって来た難波の後ろから声をかけた。振り向いた難波は、いつもと変わらない表情で挨拶をしてくれた。
「難波、私、安売り頑張るから。ちゃんと、自分売り込んで、絶対に幸せになるから」
「え、なんや、どうしたん。急に」
「難波にも幸せになってほしいから、私、今回は全力で頑張るわ」
「え、あ……うん。気合が十分なのは伝わった。ありがとう。まあ、頑張ろうな」
「うん!それじゃあ、私、今日も頑張ってくる」
突然の私の宣言に少し戸惑っている難波。そんな難波を放って、私は自分のデスクへと戻った。
自分の幸せの為にも、難波の幸せの為にも、私、頑張らないと!