セールス婚 〜負け組仮確定の私が勝ち組に成り上がるまで〜

「やった!安井さん、ありがとうございます!それじゃあ、宜しくお願いします!」

「あ、うん」

 いつもの可愛らしい笑顔で喜んだ松井ちゃん。その笑顔に少しほっこりした私は、またパソコンと向き合った。

 松井ちゃんは、一昨年この会社に新卒採用で入ってきた。彼女は、茶色く長い髪をゆるく巻いている女の子らしい子だ。

 性格は明るくて、ポジティブで、素直で、いかにも今時の若い子という感じ。実際に年齢も24歳と若いのだけれど、それ以上に、内面から若さを感じる。

 素直だし、可愛いし、難波さえ良ければ、本当に良い話だとは思う。

 私にとって、難波は大切な同期だし、本当に、心から幸せになってほしいから。

 言い合いばかりしてるけど、私が悩んでいる時にはいつも真剣に話を聞いて、アドバイスをくれる。そんな難波に直接は伝えられていないけれど、本当は、本当に感謝している。


「よし」


 だから私は、この感謝を、私なりに全力で返す事に決めた。



< 25 / 89 >

この作品をシェア

pagetop