セールス婚 〜負け組仮確定の私が勝ち組に成り上がるまで〜
「僕、この間言いましたよね。僕の前では無理しないでくださいって」
「えっ……う、うん」
「僕とご飯に行けない理由、難波さんが関わってますよね」
「え」
ずばり言い当てられた理由。私は、早川くんの勘の鋭さに驚きつつ、一度だけ小さく首を縦に振った。
「やっぱり、安井さん。難波さんのこと、好きなんですよね」
「え、えっ⁉︎」
私は、またもや早川くんの一言に大きく驚かされた。
「な、なんでそうなんの!私、そんな事一言も言うてないし、第一、私と難波は……」
そんなんやないから、と言おうとしたところで私は少しだけ戸惑った。
このモヤモヤの正体。この複雑な気持ちになる理由。秋加が言っていた答え。まさか、それが、早川くんの言うように私が難波の事を好きだという事?
信じられないところに辿り着いてしまった答え。これが正解なのか、そうではないのか分からなかったけれど、私はひどく困惑していた。
「好きじゃないなら、どうして最近そんな浮かない表情ばっかりしてるんですか」
「それは……」
「安井さんの事好きですけど、今の安井さん、無理して自分の気持ちに気付かないようにしてて、安井さんらしくないから嫌です。正直、難波さんと一緒にお話しされてる時の安井さんが一番安井さんらしい気がします」