セールス婚 〜負け組仮確定の私が勝ち組に成り上がるまで〜

「私らしい……？」

「はい。難波さんの横にいる安井さんが一番自然体な感じがします。ひょっとしたら、僕は難波さんの隣にいる安井さんが好きなのかもしれないです」

　早川くんの言葉に、私の心の中のモヤモヤが少しずつ解けていくような気がした。

　答えに、少しずつ近づいている。そんな気がした。

「早川くん、私……」

「どうして好きな人の背中押してんだ、って話なんですけど、まぁ、無理な事分かってて近づいたんで。僕の事はお気になさらず。頑張ってください」

　僕は安井さんの味方です、と言って早川くんが笑った。


　頑張ると言っても、何を頑張ればいいのか。そもそも、はっきりとした答えは出ていないし、どうする事もできないのだけれど。

　でも、少なからず私は早川くんに答えに近づく為のヒントをもらい、背中を押してもらった。


「早川くん、ありがとう」

「はい。どういたしまして」


　私が抱き続けていた複雑で、大きな感情。その答えを、自分の気持ちを、探しだそう。私は、そう決めた。