セールス婚 〜負け組仮確定の私が勝ち組に成り上がるまで〜
難波の例えは、割と分かりやすかった。アクセサリー的な感覚というのは、恐らく、飾り物でしかなくて、周りから見える自分の印象を高める為のひとつの物、道具でしかない。そういう事が難波は言いたかったのだろう。
「そりゃあ、みんながみんなそうやって話しちゃうけどな。でも、未来を見据えての付き合いちゃうなら、そのくらいで十分って事」
「なるほどね」
私は、難波にしてはまともな事を言うな、と感心していた。
目の前で話している彼の目を見ながら私は二度頷き、またまた枝豆に手を伸ばした。枝豆を口に放り込み、それから出し巻き卵にも箸を伸ばした。
「ほんで、結婚したい女。これは、逆に内面重視。まあ、内面というよりは安心感やな。これも、そりゃあ見た目も良ければその方がええんやとは思うけど、ちょっと欠点があったり、派手な雰囲気やなくて、柔らかい雰囲気の子の方がええ。そういう子と家庭を築きたいって男は思うもんやで」
「へえ、なるほどね」
だから、私が今まで付き合ってきた彼氏たちは、雰囲気の柔らかい女の子の元へと去って行ったのか。ひとまず、これで納得は出来た。だけど。
「ほな、私どうしたらいい?」
雰囲気は、柔らかくしようとして出来るものじゃないと思うし、彼は、どうやって私に結婚したくなる女に改善しろと言っているのだろうか。