3月20日



「まだいたんだな、櫻」


「うん、まーね」


「…卒業しちゃったな、俺達」


「…うん」


「櫻、めっちゃ泣いてたじゃん、
あ、今も泣いてるか」


「もーうざいよ」


「いいよー泣いても。俺櫻の泣き顔
いっぱい見てきたから」


「それもそうだね…」


「なぁ、櫻」


「何?」


新の目に、私だけが映る。


それだけで、胸が苦しくなる。


まだ、残ってるんだ。


恋の病の、後遺症ってやつが。


「俺さ、櫻の彼氏で良かった?」


「…最後まで、最低で最高な彼氏だったよ」


「そっか…俺、櫻と3年間一緒にいれて、
良かったと思ってる」


「うん…ありがと」


また、胸がきゅっーとなる。


「櫻、元気でな」


「新…っ、あのさ!」


「ん?」


私は言葉に詰まった。


でも今言わなかったら、後悔する。


『まだ好きなの』


たった6文字なのに、言えない。


最後の勇気を振り絞って ーー














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