3月20日
「櫻(サクラ)、卒業おめでとう」
「夏木(ナツキ)も、卒業おめでとう」
朝、いつもの時間、いつものゴミ捨て場。
私、ーー 香月 櫻(カヅキ サクラ)と、
親友、ーー 白柳 夏木(シラヤナギ ナツキ)は
いつもと同じ笑顔で、
いつもと違う挨拶を交わす。
夏木の顔を見ると、今にも涙が溢れそうで、
鼻の奥がつんとした。
「夏木」
「ん?」
「これ」
私が夏木に手渡したのは、小さく折りたたんだ
水色の手紙。
「式が始まる前に、読んでね」
「分かった」
夏木は小さく微笑んでくれた。
何ヶ月か前の私達は、
こんな風に笑って2人で卒業出来るとは、
思ってなかったんだろうな ーー。