3月20日
「ーー…っ何でよっ…」
何でそんな泣けるセリフ言うわけ?
きっと翔は、私が泣くのを我慢してるの、
分かってる。
分かってるから、言ったんだ。
私が泣けるように。
「泣くなよっ…」
「っそりゃっ…泣きたくなるよ…翔っ…!」
「何だよ…」
「ーー…こちらこそ、9年間どうもありがとう」
「ーーっ…」
私と翔は、違う高校に進学する。
9年間も、一緒の空間で過ごしたから、
そりゃ寂しくもなる。
本当はね、こんなはずじゃなかった。
毎日喧嘩して、殴り合いして、でも
結局は翔しかいないって感じでさ。
私に好きな人が出来た時はからかうし、
翔に好きな人が出来た時は仕返しだし、
彼氏彼女が出来たらデートで尾行し合うし、
本当にくだらないことばっかだったけど。
きっと翔がいなかったら、
もっとくだらない9年間を過ごしてた。
だから寂しさは倍増されるんだよ。
ねぇ、翔。
アイツと別れて、辛かった時…
夏木に裏切られて、どん底だった時…
そんな時、私の側にいてくれて、
ありがとう。
喧嘩しても仲直りしてくれて、
ありがとう。
友達が出来にくかった時、
輪の中にいれてくれて、
ありがとう。
合格発表の時、一緒に喜んでくれて、
泣いてくれて、
ありがとう。