3月20日



ふと思い出すのは、
中学校の入学式。


緊張した震える声で、
点呼に答えて。


それを翔に笑われて。


夏木と同じクラスで喜んで。


アイツに一目惚れして。


…苦しい思いも沢山した。


でも、どれもこれも思い出なんだ。


どんなに苦しい過去も、また、
どんなに楽しい過去も、
いつかは思い出になってしまう。


私達はいつまでも、
子供のままじゃいられないから。


いつかは大人になってしまうから。


だから私達は、
3年間を共に過ごし、
共に新しい道に進んでいく。


でもこれはお別れじゃなくて、
私達がそれぞれの道で輝けるように、
エールを送る時なんだと思う。


校歌を歌いながら浮かんでくるのは、
涙と、友達の顔。


最初に浮かんできたのはやっぱり夏木。


その次が…アイツ ーー 月野 新(ツキノシン)


新は私が3年間かけて大好きだった人。


初めて本気で好きになった人。


初めて本当の恋を教えてくれた人。


初めてキスした人。


初めて本音でぶつかれた人。


初めて苦しい思いをさせられた人。


初めて裏切られた人。


私の初めてがつまってるんだ、アイツは。




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