3月20日
卒業式が終わって、最後の終礼も終わった。
クラスのみんなや先生達は、
校庭や思い出の場所で写真を撮っている。
「櫻、行かないの?」
夏木が私に声をかけてくれる。
夏木は校庭に向かうようで、
「私は後から行く!夏木先行ってて」
夏木は何かを察したのか、
「ブランコのとこにいるね」
と微笑みながら出て行った。
1人になった教室。
黒板には、
『3年2組、卒業おめでとう!!』
の文字。
そっと黒板に近付いて字をなぞる。
「先生、字、綺麗だなぁ〜…」
その後窓から校庭を眺める。
小学校の卒業式の時と、同じような光景。
「懐かしいなぁ…」
つい最近、小学校を卒業したと思ったのに、
もう高校生になるのか。
後輩から貰った手紙を読む。
『櫻先輩、大好きです!』
1番仲良しの、同性の後輩からの
ラブレター。
思わず笑った。
同時に涙が溢れた。
来月からは、この子が最高学年なのか…。
1人で泣いていると、
「泣いてやんの」
と、聞き慣れた声がした。