飛行機雲
「…はぁーっ…ありがとう、落ち着いた!」
私がそう言うと、そばにいた翼は
隣のブランコへ、移動した。
「そっか。なら良かった。
てかさーずっと前にも、こんな事あったよな」
私に笑顔を向け、翼ははずんだ声で言った。
―――何があったかは、聞かないでくれる。
そんな、小さな気づかいが、
じんわりとあったかく感じる。
「うん、あったね!私泣き虫だから…」
だけど 今日のことは、
泣いても仕方ないと思った。
『好きな人…いるの?』
聞きたいけど、聞けない。
言いたいけど、言うとまた
泣いてしまうから…
翼を見たってだけで
胸が痛いのに…