飛行機雲
3.裏切り
「つ、翼ってさ!好きな人とかいないの?!」
私が出せる、精一杯の勇気で言った。
今は朝。
下駄箱で、翼と
はち合わせしてしまった私は
『おはよう』のあとに、質問をしてみた。
『好きな人、いるの?』って。
「え!なにいきなり!…どうかした?」
私の顔を、驚きながら
上目使いで見つめる翼。
あー…心臓やばい。
心底そう思っていた。
「…な、なんとなく。翼から、そういうの聞いたことなかったから!!」
急いで目をそらして、早口で言った。
「ふーん…」
そう不満そうに言った翼は、
教室へ向かう私を追いかけるように、
私の隣で歩き始めた。
…意識してること…ばれちゃったかな…
真剣に、何かを考えているように
まっすぐ、前を向いて歩く翼。
やっぱりばれちゃったかな…