飛行機雲
「んー………好きな人はー…秘密!」
翼は沈黙を軽く破り、明るく、
意地悪そうに
舌を出して、笑った。
胸が、締め付けられるように痛かった。
好きな人が、『いない』とは言わない翼。
複雑にいろんな感情が混ざって、
すぐには何も言えない。
「……爽菊?」
顔を覗き込まれて、はっと正気に戻った。
「…ひ、秘密とか!翼のケチ!」
無理に笑って、先に教室に入り
荷物を整理して、そのまま屋上に向かった。