飛行機雲
「……え。翼って、神崎のことだよ…ね?」
私は、驚いたまま巫女ちゃんに聞いた。
「うんー…神崎って言ってたね…」
巫女ちゃんも驚いているのか、
目をまん丸くしたまま答えた。
「…で、でも!わかんないよっ?あの人3年生だったし!先輩の中に同じ名前の人がいるのかも!」
巫女ちゃんはわたしを気遣ってそう笑ってくれた。
でも…確かに翼って…
…
え、でもじゃあ、翼には好きな人がいるってこと…?
翼に、好きな人が…?
もう9年目の片想いしている、
翼に、
…好きな人…
巫女ちゃんの言葉にも応答しないまま、
私はそこにしばらく座っていた。