ハッピーエンドなんていらない
プロローグ
「彩芽と雪に報告があります!」
楽しそうにはしゃぎそう言うのは親友の紫苑だった。
わたし、春風 彩芽と、親友の秋雨 紫苑、それから幼馴染の男子の夏川 湊と冬野 雪。
いつもいつも4人一緒だったわたしたち。
それなのに、まさかこの一言が、わたしたちの間に、見えないほんの少しの亀裂を入れることになるなんて、この時のわたしは思いもしなかった。
それは、高校生になって初めてのクリスマスのことだったっけ。
「実はおれたち、付き合うことになったんだ」
ふんわりと幸せそうに笑う男女。
そうだ、あの時のわたしは、
2人のことを幼馴染としては、親友としては見ていなかった。
見知らぬ他人でも見るような目で、2人を見ていた気がする。
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