ハッピーエンドなんていらない
「でもさ、クールな者同士お似合いじゃない?」
悪気のない紫苑の言葉に、下唇を噛む。
ごめんね。ごめんね紫苑。
わたしは、綺麗じゃないから、紫苑のこと、大好きなのに、こんなに嫉妬してる。
「確かに似た者同士かもしれないけどさ」
ふいっとそっぽを向きながらそう言うと、湊が照れるなよなんて言って笑う。
…照れてなんか、ないんだよ。
隠しきれない気持ちが溢れないように、涙としてあふれることがないように。
それでも器から溢れてしまいそうだから、みんなから目をそらすんだよ。
誰も知らない、わたしの想い。
きっとね、雪もわたしと同じような気持ちでいると思う。
好きな相手に、好きでもない相手とお似合いだと言われて、悲しいはず。
無神経な2人。
知らないことを悟れという方が無謀なんだろうけど、それでも悟ってほしいのが本音。
…だって、幼馴染じゃん。
なんて、言ってしまえば所詮幼馴染なのに、過信しすぎなんだよね。