ハッピーエンドなんていらない
何があったんだと言いたげな兄から目をそらし、そそくさとリビングを去る。
そうして今日の準備をして、忘れていた雪のメールに返信をした。
『構わないけど、わざわざ確認しなくてもいいのに』
返信してから数分後、まだ準備をしている途中で雪から返信が来た。
『まあ、とりあえず確認すべきかなと思って』
雪らしい回答に思わずクスッと笑ったあと、わたしは準備を再開した。
家を出てから集合場所に向かう。
ドキドキといつもよりもずっと高鳴る心臓が、緊張を表していた。
湊と会うのにいつもドキドキしていたけれど、それとは全く違う。
語尾に「一応」とつくけど付き合うことになったわたしと雪。
そんな雪と会うことがなんだか照れくさいのだ。
火照る頬を冷えた片手で触れて、みんなが来る前に深呼吸をした。