ハッピーエンドなんていらない
気になる、紫苑の視線。
不思議なくらいに惹き込まれるような、綺麗というか、そんな瞳。
だけど、紫苑らしくないからどこか不気味で怖くて…。
「…ありがとう」
精一杯の笑顔を貼り付けることしかできなかった。
いつも紫苑がやっているみたいに腕を絡めることは恥ずかしかったから、とりあえず手を握ってみる。
雪は優しく笑いかけて、そっと握り返してくれた。
4人で学校へと登校する。
それはいつもと変わらないのだけれど、いつもとは違った朝だった。
紫苑と湊が先をゆく。
その後ろで、わたしと雪が手を繋いで歩く。
会話はなかなか弾まないし、少し気まずかったりするけれどじきになれるだろう。
ただ、わたしの目に焼き付いてしまっていた。
違和感だらけの紫苑の瞳が。
これで、みんなハッピーエンドなんて、甘かったのかもしれない。