ハッピーエンドなんていらない



大丈夫、見てるよ。一応わたしの彼氏なんだから。

言葉にする代わりに、繋いでた手の指を絡めて、いわゆる恋人つなぎというやつをした。

何も言わずに繋ぎ返してくれる雪に、わたしはありがとうの意味も込めて笑いかけた。


「ほらほら、彩芽に雪、2人の世界から帰ってきて〜」

突然、クスクスとからかうように笑いながら、紫苑がそんなことを言った。

わたしたちを見てニヤニヤとしながらも、片方の手は湊と繋がれている。


…そっちだって、いつも2人の世界に入って幸せそうにしてるじゃない。


心の中で反抗するも、顔には出さないようにしながら、

「別に2人の世界なんかに入ってないし」

へらっとしてそう返した。


ほんとかなぁ?と疑う紫苑を制止して、湊が何かチケットらしきものを4枚出す。

首を傾げるわたしと雪に、湊はニカッと笑った。


「クリスマス、ダブルデートに遊園地でも行かないかなって」

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